【042】 新 装 開 店
 街に新しい店ができた。 真っ赤に塗られた派手な建物だ。 遠くからでも目立つ、 中華料理屋さんだ。 
 玄関の両側には大きな花束が四つ、 五つとならぶ。 お祭り気分だ。
  店内も朱に塗られた彩で、 異国ムードたっぷり。 初日から大繁盛で、 合い席だ。 下町ならで、 「どうぞ。 どうぞ」と客どうしが空席をなくす。
  チャイナ服の女性が、 「お昼ランチあるね。 なんにするね?」と微笑みで、 注文をとる。 
  差し出された、 ジャスミン茶の香りがいい。 
  メニューは豊富だ。 麻婆豆腐の定食を食べてみようかな。 ご飯のお変わり自由は魅力だから。 
 
  味はピリ辛いで、 とても美味しい。 食はすすみ、 ライスをお変わりした。 「ご飯もうないね。 水餃子でいいね」と6個もくれた。 ずいぶん得した気分だ。

   2時になれば、 客席が空いてきた。 チャイナのウエイトレスにも余裕が出てきた。 

「珈琲、 飲むね」 とマグカップで、 インスタントコーヒーを出してくれた。 家族の一員みたいに、 砂糖入り、 スプーンもカップの中に入れ、 かき回してくれている。 

  下町に似合った、 中華店ができものだ。
  また、来ようかな。 「また来てね」と先に言われてしまった。   

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