【016】 孤  独
 人間は孤独が好きだ。 都会の喧騒から逃れたい。 学校の成績の重圧から解放されたい。 静かな場所がほしい。 独り静かに、 人生を見つめなおしたい。 そう考えない人はいないだろう。 

 荒川の土手はとてつもなく広い河川敷だ。 深い芦が茂る、 閑散とした情景が上流、 下流へと数キロにも及ぶ。 静かな川面だが、 時おり水鳥が水面を羽ばたく。 対岸の浅草方面には数百万人が暮らす。 しかし、 ここは独りぼっちになれる、 だれにも邪魔されない場所だ。 



 日祝日だけは少年野球やサッカーなどでにぎわう。 平日となると朝夕のみならず、 日中でも静寂を独り占めできる。 大都会の中に、 なぜこんな静寂な場所があるのか。 そんなことまで考える必要はない。 

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